DESIGNER’S STORY


DESIGNER’S STORY
E.TAUTZを蘇らせ、進化させる男。

E.TAUTZは1867年、Hammond&Co.社にてエドワード7世といった皇族やエリートたちのスーツを手がけていたエドワード・トーツが、オックスフォードストリートに店を構えたのがその始まりだ。革新的なカッティングが導き出すシルエットや、スポーツミリタリーというコンセプトで、当時各界のセレブリティ御用達である高級テーラーの代名詞的存在として名を馳せた。しかし戦争や時代の煽りを受け、1968年にNorton & Sons社に。現在デザイナーであるパトリック・グラントは2005年に同社を買収し、2009年以降最も勢いのあるブランドのひとつとしてE.TAUTZの蘇生に成功した。サヴィル・ロウのスタイルやE.TAUTZのアイデンティティをカジュアルにアップデートさせ、2009年にはプレタポルテラインをスタート。エレガントなショルダーや大胆なサイズ感のスーツでブランドのアイデンティティを再構築した。これまでのスーツに飽きていたと話すデザイナー本人が、ヴィンテージを見直し、ファッションというアートを愛し、人とは違う装いを誰よりも望んで手に入れた洒脱なデザインとバランス感覚は、シンプルなカッティングに大胆なカラーやパターンの合わせ、大柄なチェック、上質のフラノやストライプなどのディテールでモダンに落とし込まれている。今でも昔ながらのファクトリーでのものづくりにこだわり、誇り高き自国での生産背景を抱えるE.TAUTZ。2019年春夏コレクションは1950年代のイギリスの世相を反映した。戦後の低迷から解き放たれ、モダニズムや消費主義・楽観的なムードが蔓延し、レジャーウェアが復活した時代。新しい未来の始まりを約束する象徴的な建築物Skylonをテーマにした今季のコレクションからも彼のファッション愛が伺えるものとなっている。


2019 SPRING / SUMMER COLLECTION
50年代の楽観的なモダニズム、現代的解釈のひとつ









ボリュームのあるボトムはブランドのシグネチャー。力の抜けたカリグラフィがレイドバックなムードのスウェットはパステルカラーが今年の気分。





<左>50年代のミリタリーパンツにインスピレーションを受けたトラウザーズはハイウエストでワイドレッグ、ずっしりとしたグリーンデニム素材。<右>股上が浅いサルエル風のシルエットがパトリックらしい。ヘヴィデニムのショーツはスクエアのボリューム感で楽しみたい。





BUYER’S EYES


BUYER’S EYES
粋な大人のアツい哲学とモダンカジュアル。


MENS BUYER 迫村岳


E.TAUTZを一番最初に買ったのはだいぶ前です。もともとテーラードで、サヴィル・ロウ型のボクシーで肩がしっかりしているタイプのスーツを作っていたんです。ショールームで初めて出合ったデザイナーのパトリックがひときわかっこよくて印象深くて。ネイビーのスーツにショッキングピンクの靴下、ベルベットのオペラパンプスを履いていたのを今でも覚えています。その後パトリックはサヴィル・ロウの老舗ブランドを買い取り、イギリスの伝統的なスーツづくりを残す活動をスタートしたんです。その背景でE.TAUTZも生産していくうちに、5年前ほどから徐々にカジュアル服を始めたんです。最初チノパンの5型が翌シーズンには10型へ、というように増えて、現在スーツの扱いはほとんどなくなっています。今後も期待値の高いカジュアルを中心に、ランウェイもやりながら続けていきたいとはデザイナー本人も言っていました。E.TAUTZのアイテムはスーツの時代から大きめのサイズ感が特徴的です。パトリック自身も大きく着てほしいという希望があって、イギリスのものづくりを残していきたいという彼の考えにも基づいています。実際、この他もイギリスの工場で作ったシンプルなオンライン限定のカジュアルブランドも手がけている。工場や伝統を残していきたいという彼の哲学が好きだし、たっぷりとしたバランシングもADAM ET ROPÉの中でいろんな着方を楽しんでもらえるといいなと思っています。





透け感のあるシャツにストライプシャツをレイヤード。ミリタリーパンツのヘヴィなボリューム感でモダンな装いに。




Photographer: Sodai Yokoyama
Stylist : Arisa Tabata
Hair: Yuko Aoi
Make up: Dakuzaku(Tron)
Model:Anahi Puntin(Unknown)
Editor: Yuka Sone Sato